2016年1月8日 18:00
【インタビュー】豊川悦司×鈴木京香 禁断の恋を抱いてアラフィフのその先へ…
豊川さんは、登場人物たちを形作る、現代とは異なる時代背景について言及する。
「この作品は戦争を扱っているわけではないけど、彼らは実際に戦争を体験している。あの時代の人たちは、戦争が終わっても、何かしら戦い続けているような人が多い気がします。荒地派の詩人たちは、言葉を武器にずっと、自分自身や社会、芸術と戦ってる。戦争という強烈な体験をしているからこそ、戦うのをやめられないというか…彼らだけでなく政治家や他の芸術家もそう。いい意味での強迫観念で創作をしていて現代とは表現の質が違う気がします」。
鈴木さんは、明子を演じて言葉を武器に戦う男たちへの深い敬意を感じたという。自身と明子の思いを重ね合わせ、こう語る。
「明子という役はエキセントリックで強い印象がありますが、彼女は言葉を生業とする詩人の特別さをきちんと意識していたと思うし、そこに共感しました。芸術家を心から尊敬し、父が芸術家であったこと、夫が詩人であること、自分を包み込んでくれる男性が詩人であることを誇りに思っていた。アピール性の強い女性に見えて、純粋に彼らの傍にいて、その創作を間近で見られることに幸せを感じているんです。自身は創作者ではないけど、理解者でありたいという思いが、いろんな局面を彼女が笑顔で乗り越えられた理由なのではないかと思います」。