2018年2月28日 20:00
【シネマモード】なぜ人を惹きつけ続けるのか? モード・ルイスが描く魂のアート
孤児院育ちで貧しい魚売りのエベレットと出会い、彼の家政婦として暮らし始めます。エベレットの寂しげな家で寄り添うように暮らす二人ですが、モードは少しでも生活に彩を加えようと、壁に大好きな絵を描き始めます。
しぶしぶ許可するエベレットでしたが、満更ではない様子。壁に、板に、紙の切れ端に、モードは大好きな自然や動物、花をカラフルな色使いで心の赴くままに描き続けるのです。それは、モードが観る輝く世界。
やがて、NYからやってきた編集者のサンドラが壁の画に目をとめ、それを機にモードの画は評判になるのです。
こんな理想的なことがあるでしょうか。描きたいものを描き、それが評判となる。
彼女にとって、画はなくてはならないものであり、人生における唯一の心の拠り所でした。アーティストになるつもりや、売るつもりなどさらさらなく、ましてやそれが生活の糧になるなど考えもしなかったのです。そもそも、サンドラに絵を売ってほしいと言われたとき、これは売り物じゃないと言うのですから(むりやり、エベレットに売られてしまうのですが)。彼女の人生を知ると、アートやアーティストという概念自体がない時代から、アートやアーティストというものが社会の中でどのように根付いていったかということを知る手がかりを見つけたような気持になります。