2018年2月28日 20:00
【シネマモード】なぜ人を惹きつけ続けるのか? モード・ルイスが描く魂のアート
世の中は、驚くほどアートにあふれています。ジャンルもスタイルも違って、実に様々。もちろん玉石混合なのですが。その中から、お気に入りを見つけるのは好みであるかどうかが大きなポイントなのですが、誰かに「これ、好き!」と思わせるためには、技巧的に上手いか下手かではなく、そこに魂がこもっているか否かということのほうが大きいと思うのです。
コンサートホールや美術館、博物館に足しげく通う私ですが、見事なクラシック演奏や美しい画を見ても、何も感じないことがしばしばあり不思議に思うことがありました。頭では素晴らしいとわかるのに、なぜか心が動かされない。その理由をいろいろ考えていたのですが、最近になって、才能をひけらかすために行われるアクションは、人の心を惹きつけ続けることができないのだと感じるようになったのです。たとえ、一時は話題になったとしても。
映画『しあわせの絵の具愛を描く人モード・ルイス』で描かれているのは、そんなアーティストとは対極にある、魂の画家の物語。モードの絵を前にすれば、そんなこと一目瞭然なのです。
特別な教育も受けず、子どものころからの重いリウマチのせいで一族から厄介者扱いされてきたモード。