2018年6月7日 11:51
是枝監督、パルムドール受賞後の様々な反応や“物議”について語る!「個人的には前向きに」
「一番印象に残っているのが、施設でひとりの女の子に『いま、何を勉強してるの?』と聞いたら、ランドセルから国語の教科書を取り出して、『スイミー』を読み始めたんです。周りの大人が『みなさん、忙しいからやめなさい』と言うのに最後まで読み通してくれて、僕らが拍手したら、すごく嬉しそうに笑ったんです。この子はきっと、離れて暮らす親に聞かせたいんじゃないかと感じて、その朗読している顔が頭から離れず、すぐに映画の中の少年が教科書を読むシーンを書きました」と明かした。
その後、別の記者から「社会問題をテーマに選んだ関係上、この作品の観衆に政治家や官僚はイメージしていたか?」と尋ねられると「ありませんでした」と即答。「TVをやっていた時代に、先輩から言われたのが『誰か一人に向かって作れ』ということ。『TVのように不特定多数に向けて作るものほど、ひとりの観客の顔を思い浮かべて作れ』と20代の頃に言われて、ずっとそうしてます。いま、わかりましたが、『スイミー』を読んでくれた女の子に向かって作っていると思います」とうなずいた。
■カンヌ審査員チャン・チェンのお気に入りのシーンは…?
映画では、都会の真ん中にひっそりとたたずむ「家」