【インタビュー】浅野忠信 映画界なんて架空のもの、ぶっ壊してしまえばいい――若い世代へ継ぐパンク精神
結局は、なにをやっていても、一生懸命取り組めば、映画的な要素はつかめるんです」。
一方で、映画以外のことにチャレンジしたことで、改めて伝統的な映画の良さを見つけることもできたという。
「枠にとらわれる必要はない。ただ、様式美的なものの良さもある。以前、千利休の末裔の方にお茶を入れてもらったことがあるのですが、その方は『好きにお茶を飲めばいいんです』とおっしゃったんです。ただ『ルールに則ってやると、もっと楽しめます』とも付け加えていたんですね。まさに映画も同じで、最近は自由な手法で映画を撮る人も増えてきました。それはそれで、とても良いことだと思うけれど、これまで先輩たちが作ってきた映画の面白いルールも『なるほどな』と思うことがたくさんあります」。
「どちらも楽しめればラッキー」と臨機応変に良いと思ったものは取り入れる――。そんな浅野さんの背中を見て憧れを抱く後輩は多い。「僕はなにかをぶっ壊したいタイプなので、そういう意味では、若い人がメチャクチャやることを阻止しようとする大人がいたら『無視しちゃいなよ』と背中を押せるような人でいたいですね」。
茶山半郎を演じるにはピッタリな浅野さんのパンクな生き方が垣間見えた。