“美味しい”は優しい…心まで温かく満たされる映画5選
すずにとって、仙台の生しらす丼も、鎌倉「山猫亭」のしらすトーストも亡き父の思い出の味だ。そして、庭の梅の木から収穫した実でつくる自宅で作る梅酒も、焼酎たっぷりだったり、酸味が強かったりと四者四様。
そんな日常の食卓を通じて、それぞれに問題を抱え、どこか心に距離があった四姉妹は、1歩ずつ成長しながら家族になっていく。特に“似た者同士”の幸と母、幸とすずが心を通わせるのに、自家製梅酒がひと役買う。希林さんが「この子に出会ったのがこの映画のポイント」と語ったように、新人賞を総なめにした広瀬すずの瑞々しさも見逃せない。
『四十九日のレシピ』喪失から前を向く…人生再生のレシピ
近ごろ何かと話題の“義母”が突然亡くなったことで、生きる気力を失った娘・百合子(永作博美)と父・良平(石橋蓮司)が、再び人生の一歩を踏み出す姿を描いた『四十九日のレシピ』(13)。『百万円と苦虫女』『ふがいない僕は空を見た』などのタナダユキ監督が伊吹有喜の同名小説を映画化。今作で鍵となるのは、生前に義母が書き残した“暮らしのレシピ”だ。
不妊に悩む百合子は、ある日、夫の浮気相手の妊娠を知らされる。さらに母・乙美が亡くなったことで、実家へと舞い戻るが、そこには抜け殻のようになった父の姿が…。