2018年11月13日 16:15
20世紀最高の歌姫、その光と影に迫る…『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』
俳優でもあるマチュー・アマルリックが監督・脚本を務めて描く『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』。11月16日(金)からの日本公開を前に、20世紀最高の歌姫バルバラが辿った波瀾万丈な人生に迫った。
■バルバラの壮絶な人生から読み解く光と影
孤独と苦難の中にも歌だけを信じ、人生を駆け抜けたひとりの歌姫は、どのように誕生したのか。バルバラの生涯は謎に満ちており、1997年に逝去した後に世に出た回想録「一台の黒いピアノ~バルバラ未完の自伝」(小沢君江訳・緑風出版)によれば、ユダヤ人として生まれ、ナチス・ドイツによるフランス占領時代には国内外を転々、少女時代にその占領下で迫害を受けている。
そして両親との葛藤、とくに彼女の代表曲「黒いワシ」に秘められた父親の近親姦の痛ましい傷あと、80年代に猛威をふるったエイズ禍に対峙した背景などが赤裸々に語られている。
生涯をかけて、「私には個性があり、それをいう権利がある。あなたにもあるのです」と世界に向けて主張し続け、苦しんでいる人の声に応え、差別される人々全てに権利があることを訴える仕事を続けたバルバラ。
時代のトレンドがシャンソンからフレンチポップスにとって代わる50年代後半にレコード・デビューしたにもかかわらず、あくまでシャンソン歌手として一世を風靡した。