【レビュー】『名探偵ピカチュウ』、初のハリウッド実写化が成功した理由は?
改めて、彼らに命を吹き込むテクノロジーの進化に驚かされるが、人間とポケモンの共存はつまり、俳優とCGの共演によって実現するわけで、演出面でも実写の概念にとらわれない、自由な発想とバランス感覚が求められる。この条件を長編アニメ『シャーク・テイル』などで知られるロブ・レターマン監督は見事にクリア。本作でも持ち前のセンスを存分に発揮している。最近では、トラヴィス・ナイト監督(『KUBO/クボ 二本の弦の秘密の監督』)が『バンブルビー』を成功させており、アニメ出身監督の実写映画抜てきは今後、増えそうだ。
今後、どうなる?ますます増えるゲームの映画化
冒頭でも触れたように、ゲームの映画化が成功したケースは非常にまれ(数々の迷作を生んだ1990年代は、ゲーム/映画、両方のファンにとってほろ苦い時代だ)。現在も「モンスターハンター」「ロックマン」「ダンスダンスレボリューション」といった有名タイトルの映画化が進行中で、期待と不安が入りまじる状況だけに、映画『名探偵ピカチュウ』が1つの基準として、観客や製作サイドにとって、良きサンプルになることを願いたい。同時に、ハリウッドによる実写映画をきっかけに、日本が世界に誇るゲーム文化が、改めて広く海外に発信されるなら、それもまた喜ばしいこと。