くらし情報『カンヌ総括:受賞につながったのは、作品に込められた“格差社会への批判”』

カンヌ総括:受賞につながったのは、作品に込められた“格差社会への批判”

エンターテインメント性と格差社会への批判が見事にマッチした圧巻の出来で、21日の上映直後から批評家や観客からも大絶賛を浴び、審査委員長を務めた『レヴェナント:蘇えりし者』の監督アレハンドロ・G・イニャリトゥも「審査員団も全員一致での受賞」と語るなど、文句なしの受賞となった。

また現地紙の星取り表などでは『パラサイト』と並ぶ高評価を獲得していたペドロ・アルモドバル監督(スペイン)の『ペイン・アンド・グローリー』(英題)は、主演のアントニオ・バンデラス(スペイン)が男優賞を受賞。会見では「人生の師と仰ぐアルモドバルの作品で、彼の分身と言える役で賞をもらえて、心から嬉しい。40年も俳優をしてきて、いろいろな賞にノミネートされたが、一度も名前を呼ばれることはなかった。受賞出来て本当に幸せ」と、喜びもひとしおといった感じだった。

『ペイン・アンド・グローリー』は、酷い腰痛に悩まされ映画を撮れずにいる監督が、戯曲を書きながら過去をふり返るというストーリー。アルモドバルの自伝的映画とも言え、高評価を獲得していた。1999年の『オール・アバウト・マイ・マザー』で監督賞、2006年の『ボルベール/帰郷』で脚本賞を受賞してきたアルモドバルが今度こそパルムドールを獲るのではという声も現地にはあったが、今回も逃してしまい、受賞にはタイミングというのがあるのだ、と思わされた。

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