【レビュー】喪失をバネにケタ違いの進化!『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は次世代への決意表明だ
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の<フェーズ3>を締めくくる『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が6月28日(金)、世界に先駆け、ここ日本で最速上映される。本稿ではネタバレなしで、いち早くレビューをお届けする。
ピーターの葛藤に共感、物語に深みと重みが
まず言えるのは、前作『スパイダーマン:ホームカミング』と比較し、完成度が飛躍的に向上したということ。物語に奥行きがあり、その積み重ねによって、訴えかけるメッセージにも深みと重みが増した。「スパイダーマンは、アイアンマンの遺志を継ぐに値する存在なのか?」。悲劇に見舞われた世界中の皆が、誰よりもピーター・パーカー本人が、この問いと向き合う姿が、本作の大きな柱になっている。
考えてみれば、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の前後では、世界のありようが全く変わってしまった。一方、以前はアベンジャーズの一員として認められようと躍起だったピーターも、いまは友達とヨーロッパ旅行をエンジョイしたいと思う若者だ。
ただし、現実はそれを許してはくれない。人間はときとして、無理やり成長“させられる”存在なのだ。そう教えてくれる主人公の葛藤が非常に身近で、共感できるポイント。