2019年7月25日 07:45
【インタビュー】忘れ去ってしまうことへの恐怖――モデル・雅子の夫がドキュメンタリーを作った理由 30年の軌跡から見えるもの
「たまに『こんなの出たよ』と自分が出ている雑誌を見せてくれたりはしたし、『仕事どう?』くらいの会話はしましたが、家での会話は、2人での生活のことが最優先でした。趣味や交友関係でも、互いの領域に踏み込むことはあまりなくて、例えば2人とも映画は好きだけど、僕はハリウッド映画とアニメが好きで、彼女が好きなのはアート系やフランス映画。『え? 『スター・ウォーズ』見たことないの? 信じらんない!』『はぁ? なんでよ?』みたいな会話を繰り広げてましたけど(笑)」
彼女が亡くなって、大岡監督は初めて気づく。モデルとしての雅子さんについて、自分がほとんど何も知らないということに。
「この映画を作った第一の動機は、あまりにモデル・雅子を知らな過ぎたから。恋焦がれるような気持ち、そしてなにより、彼女を忘れてはならないという思い、自分が彼女を忘れ去ってしまうことへの恐怖で動き出しました」。
関係者の話から浮かび上がる雅子の姿
『リング』の中田秀夫監督や雅子さんを被写体に多くの写真を撮影したカメラマンの安珠が、彼女の持つ特別な“何か”について語れば、CMで共演した高嶋政宏やモデルの藤井かほりは撮影現場や日常での彼女のプロ意識の高さを語る。