休館に負けじ…亡き父の思いを受け継いだ支配人が語る名画座「下高井戸シネマ」の現況
小さい頃から映画に親しみ、現在の仕事に就く以前から映画業界で働かれていたのですか?
小さい頃から父のそばでよく映画は見ていましたが「これから映画を見るぞ」と意気込んで見るというよりは、お酒を飲みながら見ている父の横に行ったら、なんとなく一緒に見続けてしまったというような感じで見ることが多かったです。映画を見るということはとても自然でしたが、最初から最後まできちんと見ていない作品もたくさんありますので、映画に親しんで育ったと言ってよいものか分かりません。
映画は身近にあったものの、私自身は映画業界を目指したことは一度もありませんでした。高校卒業後は音大に入学し、バイオリンを専攻しました。最初はバイオリン関係の仕事につきたいと考えていたのですが、途中で勉強し直したいという気持ちが湧き、進路変更して全く別の大学の経済学部を受験し入り直しました。大学卒業後は損害保険会社に就職し、下高井戸シネマに来るまでの約10年間、保険金査定の部署に勤務していましたので、映画業界とは全く異なる業種から、突然映画業界に飛び込んだ格好です。
映画業界には一度もいなかった人間が代表になるだけでも苦労するのですが、父が急逝してしまったため仕事の引き継ぎも何もできない状態でしたので、大変でした。