佐藤玲×笠松将、カセットテープが繋ぐ夏『ドンテンタウン』7月公開
僕が生まれ育った千葉の新浦安近辺は、埋立によって人工的に作られた。35年ほど前から開発がはじまり、マンションがちょこちょこ建ちはじめ、両親は第一世代としてこの街に入居した。最初の数年は、野良猫はおろかセミや虫たちもいない、静かなコンクリートだけの街だった。
僕はこのどこか現実味のない不思議な場所で育ちながら、ゆっくりとアイデンティティを身につけていったが、自らの生み出す作品や表現が、他の誰かの創作や想いに繋がっていくとは思っていなかった。
なので井上監督から「この映画には菅原さんしかいないという強い思いでメール差し上げました」という連絡をもらったとき、まるで自分の人生を肯定してくれるようで嬉しかった。
監督は映画を撮り進めながらふと、「この作品はSFなんです」と言った。僕はこのSFの“F”はFictionではなくFantasyだと思っている。それは、偽りのない何よりもリアルなファンタジーだ。
これまでずっと大事にしてきた想いを、ふたたび音楽に乗せてこの映画に託せることができて光栄だ。『ドンテンタウン』は7月17日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。
(text:cinemacafe.net)
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