【レビュー】『ブックスマート』オリヴィア・ワイルド監督が作りあげた“私たち”の最高な青春映画
「終わってほしくない」「この時間がずっと続いてほしい」。そんなふうに思える映画と一生のうちにどれだけ出会えるだろう。その映画のエンドロールを見つめながら、一抹の寂しさとともに充実感や多幸感を噛みしめるひとときは何事にも代えがたい。
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』は間違いなく、2020年を代表するそんな映画になるはずだ。女優や活動家としても知られるオリヴィア・ワイルドが女性脚本家や女性製作陣、新進気鋭の女優たちと生み出したのは、笑って泣ける青春バディムービーのネクストレベルにして最高峰。しかも、豊潤なまでにキラキラとして色鮮やかな個性たちが映画の中に息づいている。
ステレオタイプは不在!最先端のハイスクールバディと多様な登場人物たち
6月、大作映画が軒並み公開延期となる中、待望の本作の公開決定が発表されるや、コロナ禍に疲弊した映画クラスタのSNSは大いに沸いた。海外ドラマ「The O.C.」「Dr.House」や映画『トロン:レガシー』『ライフ・イットセルフ未来に続く物語』などで知られる女優オリヴィア・ワイルドの初監督作品の評判は、プレミア上映された「SXSW2019」