2020年11月6日 07:45
【映画と仕事 vol.5】「逃げ恥」「アンナチュラル」の脚本家・野木亜紀子が生み出す高い“密度” 映画『罪の声』で原作にない創作シーンをあえて入れた意図は?
今回、原作小説を脚本にしていく過程で最も苦労されたのはどういった部分でしょうか?
事実は事実として、映画サイズにしても矛盾なく、ストレスなく物語として見てもらいつつ、何か“見応え”を持って帰ってもらえるといいなあと。
この作品は、ヘタをすると事件をなぞるだけになってしまうんです。そうじゃなく、彼らのドラマをどれだけ伝えられるか。そこがちゃんとしていないと、映画を見たという満足感を得られないんじゃないかなと。単に事件を伝えるだけなら、NHKのドキュメンタリーだけで十分ですから。そうならないようにというのは大事にしました。
とはいえ、語るべき物語がすごく多いんですよね(苦笑)。主人公2人の話、事件に関わった子どもたちの話、第三者の回想…物語のレイヤーがものすごく多い中で、全部を合わせてひとつの物語が浮かび上がってくるようにするにはどう見せればいいのか。
それを決められた尺の中でミニマムな形で描かなくてはいけないのは大変でした。
――キャスティングに関して、野木さんが参加された時点ではどの程度、決定していたのですか? それは脚本の執筆においても影響はあったのでしょうか?
最初の段階で2人(小栗さんと星野さん)