『クレイマー、クレイマー』『8 1/2』…映画愛満載の名作が登場『声優夫婦の甘くない生活』
さらに、店主が顔を覗かせている壁にある怪しげなポスターは、低予算Z級映画の『トロル』。トロルが人間の体を乗っ取っていくのを主人公の少年が止めるという物語で、続編『トロル2/悪魔の森』も製作された。一部のファンからはカルト的な人気を誇っている。
そして何より、声優夫婦が敬愛してやまない巨匠フェデリコ・フェリーニへの愛がふんだんに詰まっている。フェリーニの代表作『8 1/2』の吹き替えをふたりが務め、モスクワ映画祭で見事グランプリを受賞したというエピソードにはフェリーニと夫婦の3ショットの写真が。
そして月の声を求める無垢な主人公と、周囲の人々が繰り広げるお祭り騒ぎを、詩的でファンタジックな映像で綴った『ボイス・オブ・ムーン』が、1990年が舞台の劇中では最新作として上映されている。
ほかにもマーロン・ブランド主演『波止場』の名セリフ、オードリー・ヘプバーン主演『ローマの休日』、フェリーニ監督『カビリアの夜』といった名作の吹き替えの思い出を語りながら、夫婦が映画とともに人生を歩んできたことが描かれている。本作と共に、この冬はこうした名作に触れてみては?
劇中に登場する主な名作
『8 1/2』
温泉地に逗留している43歳の映画監督グイドは新作の撮影を控えながらも、構想がまとまらず、プロデューサーや製作主任にせっつかれながら公私ともどもストレスにさらされる。