【インタビュー】アナ・ジラルド、いま分からなくても「そのうち意味に気づく」『パリのどこかで、あなたと』
長い歴史で多くの出来事を見てきた永遠の街、世界一美しい街に住んでいるんだと、ふと思い出した瞬間でした。多くのパリジャンはその素晴らしさを忘れてしまっているんですけど。
――マッチングアプリで出会い、デートをするシーンが登場しますが、コロナ禍で人との関わり方はさらに変化していくと考えますか?また、監督自身の作品にも、コロナ禍の変化は影響を与えると考えますか?
クラピッシュ監督:もちろん影響はあると思います。世の中の全ての出来事が影響します。
私たちは今、全世界的に危機に直面していて、それはもちろん私たちの行動を変えると思います。怖いし、奇妙ですよね。例えば、フランスで6か月前に生まれた子どもは、マスクをしている人しか目にしていないんです。人の顔の半分しか見えなくて、そもそも人ともあまり会いもしないし、みんな人に触ることを避けるんですから。
子どもたちにどんな影響を及ぼすのかわからないですよね。
今となっては十人くらいがハグしあっているシーンなんて、「なんだこれ、変なの!」と思いますよね。カップルがキスするシーンだって、意味が違ってきます。そもそも人間にとって他者との接触は怖いものなのに、この病気でその恐怖は更に増大したわけです。