【インタビュー】アナ・ジラルド、いま分からなくても「そのうち意味に気づく」『パリのどこかで、あなたと』
日本もそうですが、パリには優れた伝統や長い歴史があり、同時に力強い現代性もあります。多くの人はその2つは相対するものだと思っていますが、実は共存します。
例えばファッションウィークのようなモードの世界では、優れた過去、長い歴史がありますが、同時に今を表現するクリエイティビティもあり、著名デザイナーも常に日常に変化をもたらしています。シャネルやディオールなどの老舗ブランド、フランスの若手のクリエイターも、モードの歴史をリバイバルさせることもあれば、現代性のあるものを創り出すこともあります。私はパリのこういうところが好きなんです。力強い歴史があり、力強い現代がある、矛盾するようにも思える反対のものが共存する街なんです。
アナ:セドリックの後に話すのは難しいですね(笑)。私はパリで生まれて、8回引っ越したので、右岸にも左岸にも、色んな区に住みました。
この間、街を歩いていたら、ちょうど陽が落ちるところで、セーヌ川がオレンジ色に染まっていて。ポンデザール橋を渡っていた人々も橋の途中で足を止めていました。見ごとな空の色に、心地良い気温、カモメが空を飛んでいて。今は通りも人が少ないので、街は芸術品のようで、荘厳でした。