くらし情報『『鬼滅の刃』大ヒットによる錯覚と、正念場を迎える2021年の映画界』

2020年12月31日 16:00

『鬼滅の刃』大ヒットによる錯覚と、正念場を迎える2021年の映画界

しかし、海外におけるドラスティックな配信シフトと比べると、日本のそれは限定的なものだと言えるだろう。何故なら、海外では多くの国で独占禁止法で禁じられている同一の資本による配給と興業の一体化が、日本では慣習的に許されているからだ。劇場公開もされた行定勲監督の『劇場』が配給会社を移さなくてはいけなくなったのも、大手シネコンチェーンでは上映することができず上映館数が極端に限られてしまったのも、それが理由だ。また、世界的に配信の2週間前に設定されているNetflixオリジナル映画の劇場公開作品も、日本の大手シネコンチェーン(独立系のイオンシネマを除く)では上映されることはない。そのような事情によって、結果的に日本の劇場は「守られた」ことになる。少なくとも、今のところは。

そして、ご存知のように日本の映画界の状況を一変させたのは、10月16日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴史的大ヒットだ。その記録破りのスタートダッシュの要因については、同時期に公開されるハリウッド映画が一つもなくて異例のスクリーン数での公開が可能となったことが挙げられるが、公開から70日強しか経っていない年内に日本歴代興行収入記録を塗り替えるにいたっては、過去の映画興行のあらゆる常識を超えた社会現象と捉えるしかない。

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