くらし情報『『鬼滅の刃』大ヒットによる錯覚と、正念場を迎える2021年の映画界』

2020年12月31日 16:00

『鬼滅の刃』大ヒットによる錯覚と、正念場を迎える2021年の映画界

Photo by cinemacafe.net

《text:宇野維正》

2020年、日本映画の最初のサプライズヒットといえば、『犬鳴村』(最終興収14.1億円)が挙げられるだろう。2月7日に公開された同作は週間動員ランキングで2位に初登場すると、その後、10週にわたってトップ10をキープ。11週目からは日本全国に緊急事態宣言が発出されたためランキングそのものが発表されなくなってしまったが、同時期に公開されたアメリカ映画の『ミッドサマー』のスマッシュヒットと合わせて、日本におけるホラー映画興行の新局面を予感させた。そして、その予感は8月28日公開の『事故物件 恐い間取り』(最終興収23.5億円)の大ヒットによってより確かなものとなった。

そんな今年のホラー映画のヒットを支えていたのは主に10代、20代の観客層だったが、その層の映画興行への貢献が最も顕著に表れたのは緊急事態宣言明けの『今日から俺は!!劇場版』(最終興収53.7億円)、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(最終興収38.4億円)の連続大ヒットだった。いずれも民放のテレビドラマの映画化作品だが、これはゼロ年代に粗製濫造されたテレビドラマ映画の人気が復活傾向にあるというよりも、コロナウイルスに対する警戒心が比較的少なかった若い世代が、まずは劇場に戻ってきたと捉えるべきだろう。

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