日本アカデミー賞作品&主演賞受賞『ミッドナイトスワン』ひとりの人間の生を表現した俳優・草彅剛の輝き
と、草彅さんにまつわる大切な人たちの名前を挙げた。
さらに、「映画って、それぞれ作り手の方とか、役者の気持ちとか、いろいろな方向性はあると思うんですけど。なんか、ひとりひとりの人生が、よりよく自由にまっとうできるような、そんな作品作りと人と人との関わりの中で、これからも自分の人生をまっとうしていきたいと思います」と、かみしめるように、丁寧に、言葉を発した。
作品賞を受賞した際にも、草彅さんは「奇跡が起きるんだなと思って。諦めたりしないで、一歩ずつというか。たまには振り返ることも人間誰しもあると思うんですけど、またそこから少しでも進むと、いいことがあるんだなと思って。本当にこの映画を愛していただいて、ありがとうございました」と感謝で綴った。
一方、主演女優賞を受賞した長澤さんは、『MOTHER マザー』で欲望のまま、身勝手に生きるシングルマザーを演じた。
ホームレス生活を送り、社会から孤立するにつれ息子への執着を募らせる狂気じみた母親となり、圧巻の芝居を見せ、見事初の主演女優賞に輝いた。スピーチで、長澤さんはマイクを前に、ぐっと涙をこらえた。しかし、すぐに涙はあふれ、彼女の頬を美しくつたった。