ファッション小噺vol.最終回 2009年、映画界のベストドレッサーは?
マイケル・ジャクソンという不世出のエンターテイナーの魅力を十二分に伝えたという意味では、記録映画の傑作。でも、あれを“映画”としてほかの作品と並べてしまっては、他作品の監督が浮かばれないような気がしたのです。つまり、マイケルが相手じゃな、相手が悪いよ…という感じ。そこで、かなり悩んだ末、残念ながらベスト3から外しました。あの作品は、マイケルそのもの。作品を評価するかどうかでは語りきれないと思ったのです。
そんなわけで、あの映画について語りたい欲求は満たされないまま。ならば、ここで語りましょうというわけです。
マイケルといえば、個性的でキレのあるダンスと抜群の歌唱力で知られた人ですが、ファッションも唯一無二のセンスを持ち、数多くのトレンド作りにも貢献しました。帽子や、手袋、キラキラの靴下など、彼らしいアイテムもいっぱい。
当時、マイケルファッションを真似する人もいましたが、『THIS IS IT』を観て驚いたのは、マイケルは30代でも40代でも、そして50代でも、マイケルそのものだったということ。晩年は、さまざまなトラブルに見舞われ、記者会見に不思議なスーツで現われたり、車から奇妙なマスクをして登場したりと、一時期のカリスマ性は消えていたように感じていました。