【シネマモード】この人に会いたい! 『フローズン・リバー』監督、コートニー・ハント
その瞬間、これでもう大丈夫だと思えたわ。ただ、グランプリを受賞したときは、本当にショックだった。映画の評判が良いことは、自分でもわかっていたの。開催中、街を歩いていると、いろいろな人が“とても良かったわ”と声をかけてくれていたから。でも、多くの映画が出品されているから、まさか自分が受賞するとは思いも寄らなかったんだもの。その後、主演のメリッサ・レオや脚本家で監督である私がほかの映画祭でも賞をいただいたり、ノミネートされたりするようになって。2人とも、この作品で賞をもらえるなんて思っていなかったから、すべては予定外のこと。そのたびに、笑ってしまって『なんだかシュールよね』と言い合っていたわ。
なかでも、最もシュールだったのはアカデミー賞の主演女優賞とオリジナル脚本賞のノミネート。そこから、全てのフェアリーテイルが始まったのよ」。
この作品には、社会的な視点が見事に盛り込まれているけれど、どのように鋭く社会、そしてそこにある問題を見わたす視野を養ったのかも気になるところ。
「母が小さい頃から映画に連れて行ってくれたんだけど、彼女の映画の見方というのは非常に幅広いものだったの。母にとって映画館は、本当の世界を私に教える唯一の手段だったんだと思う。