【映画と仕事 vol.15】ラブシーンに臨む俳優の尊厳を守る 日本初の“インティマシー・コーディネーター”浅田智穂が現場にいることの意味
「あの現場ではOKだったのに、この現場ではNGってどういうことなんだ?」となっても困ってしまうので、柔軟に現場に合わせつつ、やはり最も守らなくてはならないのは、俳優の尊厳であるという、そのバランスが大事だと思います。
確実に理解者は増えていますし、加えてオーディエンスのみなさんもインティマシー・コーディネーターの存在を知り始めたこともあって、「現場に入っていると安心する」という声を実際に耳にすることも多いです。それは嬉しい変化ですね。
――やはりガイドライン、共通のルールなどを策定することが必要となってくるのでしょうか?
そうですね。現場によって環境が違うので難しいですが、個人的にはどの現場においても「俳優の同意を必ず得ること。そこに強制が絶対にないこと」、「必ず前貼りをすること。それは衛生面や安全性も考えてのことで『着けません』というのは認めない」、そして「クローズドセットと呼ぶ最少人数で撮影するスタイル」の3点を現場スタッフに守っていただくよう心がけています。この3つの点に関しては、既にきちんと機能し、守られていると言えますが、守るべきルールはそれだけではないので、そこは今後、改善を重ねていかなくてはいけないと思っています。