【映画と仕事 vol.15】ラブシーンに臨む俳優の尊厳を守る 日本初の“インティマシー・コーディネーター”浅田智穂が現場にいることの意味
そもそもアメリカにおけるインティマシー・コーディネーターは、俳優組合という後ろ盾があって、そのルールを遵守して仕事をすればよいのですが、日本にはルールやガイドラインがありません。なので、私のほうから「こうしてください」とお願いすることはできても、相手がそれを聞かなくてはいけないというルールも罰則もないんです。
私自身、アメリカ式のトレーニングを受けてインティマシー・コーディネーターになったので、1本目の『彼女』のときは、アメリカ式のルールの下でインティマシー・コーディネーターをやらなければいけないという意識が強かったです。日本とアメリカでは映画づくりの慣習などでさまざまな違いがあるということは理解しつつも、どこまで日本の現場に合わせるべきなのか?ということがわかりませんでした。
その後、今回の「金魚妻」や「サンクチュアリ-聖域-」、他にNetflix以外の作品でもこの仕事をさせていただくようになっていますが「いかに日本のやり方に合わせていくか?」というのはすごく大事な部分だと感じています。とはいえ、柔軟性をもって日本の現場に合わせたいと思いつつも、柔軟過ぎて個々の現場によってあまりにも違いが出てきてしまってはいけないと思っています。