2023年7月12日 13:30
【インタビュー】『愛しのクノール』マッシャ・ハルバースタッド監督 「子供に必要なものは健全なお伽噺だけではない」
【取材・構成/叶 精二】
オランダの長編ストップモーション・アニメーション『愛しのクノール』が公開中だ。第42回オランダ映画祭で最優秀映画賞・最優秀監督賞・最優秀プロダクションデザイン賞をトリプル受賞し、第1回新潟国際アニメーション映画祭の長編コンペディション部門にもノミネートを果たした快作だ。
主人公は子犬を飼いたい少女バブス。しかし両親は反対。そこへアメリカに行ったきりだったおじいちゃんトゥイチェスが突然帰って来る。おじいちゃんは、バブスに子豚の「クノール」をプレゼント。子豚をしつけていくことで、家族の関係は穏やかに改善してゆく。しかし、おじいちゃんには隠れた野望があった…。
家族と子豚の物語を丁寧に綴った愛らしい作品だが、決して無害なファミリームービーではない。大胆なシーンや予想外の展開も待ち受けており、スピーディなアクションシーンも秀逸だ。
長編第1作となる新進気鋭のマッシャ・ハルバースタッド監督に本作の演出意図から次回作についてまで、広範に伺った。
低いカメラでリアルな世界と人間関係を撮る
──クノールはアニメーションでよく見られる「トーキングアニマル(しゃべるマスコット動物)」