くらし情報『『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』に見る現代ノワールの新たな可能性』

2023年12月30日 14:00

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』に見る現代ノワールの新たな可能性

もまた、大学生の久能整が訪れた広島で、とある一族の遺産相続争いに巻き込まれ、その謎を解くというものになっている。

『ゲゲゲの謎』も、上記のような、現在の日本の映画の中で最もオーソドックスで、観客にも馴染のあるスタイルをとりながら、ノワールの要素や、男同士のバディや友情の要素とうまく融合させている。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』に見る現代ノワールの新たな可能性

そのバディというのが、先述の水木と、妻を探して哭倉村にたどり着いたゲゲ郎の二人である。ふたりの出会いは、村で起こった殺人事件の犯人と目されて首をはねられそうになったゲゲ郎を、水木が助けるというシーンではあったが、その後、ゲゲ郎の見張りを命じられた水木は、ゲゲ郎をそこまで信頼してはいなかった。だから、ゲゲ郎に「ひとつ煙草をくれないか」と言われても、水木はそれを簡単に断ってしまう。

しかし、しばらくして二人が自身の話をぽつりぽつりと話して信頼ができたとき、初めて水木はゲゲ郎に自分の吸っていたタバコを差し出すのである。タバコが関係性の変化を示す映画は数多いが、この映画では、克典から水木が差し出される葉巻に咳き込み、なんら信頼関係が築かれないというシーンとの対比が面白かった。

一度は窮地に陥った水木が、遅すぎるタイミングでゲゲ郎を助けにいくシーンも、ノワールのお約束だろう。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.