美しき男たちvol.2 『シングルマン』から見えてくる“時代”
母親はゲイの息子を、異常だと決めつけ「まともじゃない。歪んでいるわ」とののしります。長年にわたり、ありのままの自分を受け入れてくれない母の不寛容に苦しんできた息子は、「愛と尊敬以外は人に求めない。その二つをくれない人は、自分の人生から出て行って」と言い放つのです。傷つき葛藤しながらも、威厳を生きていくための辛い選択だったのです。いまも、こんなやりとりが家族の間で行われているのではないでしょうか。
『シングルマン』の中で描かれたジョージの苦悩は、いまも完全になくなったわけではありません。つまり、これは私たちが昔から直面してきた古くて新しい問題。
時代が変わっても、人が変わらなければ、なくならないものもあります。それを考えると、マイノリティ差別は時代の産物ではないということなのかもしれませんね。
vol.1 『シングルマン』を彩るファッションと美学
vol.3 9/28 coming soon
(text:June Makiguchi)
■関連作品:
シングルマン 2010年10月2日より新宿バルト9ほか全国にて公開
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