発禁小説を映画化『フィリップ』は「戦争のトラウマに苦しむ男性についての映画」監督が語る
発禁処分となった、ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドの実体験に基づく自伝的小説を基にした映画『フィリップ』が6月21日(金)より公開。この度、監督のミハウ・クフィェチンスキが製作理由について語るインタビューコメントが到着した。
1961年にポーランドで発刊後、すぐ発禁処分にとなった原作を、戦時中から80年以上たったいま、改めて映画化した理由について、監督は「本作の時代背景であるは、この映画の時代設定や舞台装置にすぎません」という。
「本当に重要なのは、物語の時代設定に関係なく普遍的な、主人公を悩ませる精神的・道徳的問題」であり、「フィリップは建築家になる夢がありましたが、戦争の運命によりホテルのウエイターになりました。この点において彼は現代のウクライナやシリア、パレスチナ、アフガニスタンからの難民の境遇と共通している」と語る。
いつの時代も、戦争によって人生を狂わされるのは、普通の人々であるという数十年経っても変わらない、世界共通の事実を描きたかったと明かし、「これは戦争映画では無い」「戦争によって孤独で疎外されたトラウマに苦しむ男性についての映画を描きたかった」と監督は述べる。