リマスター版が再評価、ニュー・クィア・シネマの旗手グレッグ・アラキの2作品公開
と本人も語る、まるでジェットコースターのようなスピード感で若者たちの〈終末の日〉の一夜を描いた『ノーウェア』。約30年前の作品とは思えないほど、いまの感性を刺激する魅力とパワーを放つ2作品だ。
『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』
パンクでシュールでロマンチック――かつてなく刺激的な逃避行
「今夜は何か起こりそう胸騒ぎがするんだ」。今回、公開された本作の予告編(60秒)は、ロサンゼルスのクラブで若いカップルのジョーダン・ホワイト(ジェームズ・デュバル)とエイミー・ブルー(ローズ・マッゴーワン)が語り合う場面から始まる。その後、2人の予感は的中。セックス、ドラッグ、ロックで華やかに彩られた静かな夜は、危険な香りを纏った流れ者グザヴィエ・レッド(ジョナサン・シェック)の登場によって一変。途中、立ち寄ったコンビニで銃を向けられたり、会計のたびに不吉な数字「6ドル66セント」という数字が現れたり、常軌を逸した出来事ばかりに見舞われる。
しかし、謎に包まれたグザヴィエはたびたび2人を窮地から救い出し、図らずも追われる身となった3人は、サイコたちが徘徊する不毛の荒野と化したアメリカを逃げ回る…。