リマスター版が再評価、ニュー・クィア・シネマの旗手グレッグ・アラキの2作品公開
では、混沌とした世界で永遠の愛をもとめて彷徨う若者たちの明るくも悲劇的な1日の様子が描かれる。
舞台は太陽が燦々と降り注ぐロサンゼルス、映画監督志望の18歳の青年ダーク・スミス(ジェームズ・デュバル)は、恋人のメル(レイチェル・トゥルー)が心の底から自分に夢中になってくれることを求めている。
一方のメルはダークのことを深く想ってはいるものの、紫色の髪の恋人・ルシファー(キャスリーン・ロバートソン)にも想いを寄せており、2人の間を行ったり来たりしている。
そんなメルとの心許ない関係に悩まされているダークは様々な妄想で自らを慰める日々を送っているが、オッドアイの美しい瞳を持つ無垢な青年・モンゴメリー(ネイザン・ベクストン)に次第に心惹かれていく。
様々な人間が入り乱れる地元の溜まり場であるコーヒーハウス“ホール”、いつものようにそこに集まり、夜の<缶蹴りゲーム>とパーティの計画を立てていたが、ダークの周囲では奇妙な出来事が起こり始める…。
若さゆえの疑念や不安、思春期の恋愛、SM、ドラッグ、カージャック、殺人、エイリアン誘拐――「ひどい一日だった」という最後のダークの呟き…と、まるで世界の終わりのような絶望に満ちたひと言が想像をかき立てる映像となっている。