【インタビュー】齊藤工、竹林亮監督への絶対的信頼「商業的作品にはない本質」を生み出すクリエイション
という漠然とした確信に突き動かされた形です。
目的やフィロソフィーが掲げられないと映画の企画は成立しないかと思いますし、商業的な成立のさせ方がプロデューサーの役割でしょうが、むしろそうではないものに宿る本質が竹林監督と児童養護施設の子どもたちの間に生まれるんじゃないかと考えていたのです。この作品が世に出るものになるかも定かではないからこそ、映画づくりにとっては不誠実でもあるような変則的な進め方をできました。
年齢という括りで“成長”という流れを作る
――先ほど伺った「被写体が制作に参加する」体制含めて、一般的なドキュメンタリーに対するカウンター的な作品でもありますね。各々の背景を説明しない、というのも新鮮でしたし、音楽やナレーションを排している点も興味深かったです。
竹林:まず、様々な人に影響を及ぼしてしまうため全てをオープンにはできないという制約がありました。そのうえで、被写体の子どもたちが「この映画に出てよかったな」と思えるものがいいという前提の思考の整え方を行っていきました。
大抵のドキュメンタリーは課題を提示する役目を担っているかと思いますが、その観点でいうと「背景を説明しよう」