【インタビュー】齊藤工、竹林亮監督への絶対的信頼「商業的作品にはない本質」を生み出すクリエイション
となっていたかと思います。ですが「こういう子です」と見せてしまうことでわかった気になって整理してしまうのも危険ですし、本作ではそれを行いませんでした。
背景に想像を巡らせながら「自分に近いところがあるのかもしれない」などと考えながら観ていくと、一つひとつの言葉に耳を澄ませることになり、子どもたちに向き合うことができると信じて。ただ、ドキュメンタリーとしてそれを行うことは非常にチャレンジングでした。どう成り立つのかわからない怖さがあったのは確かです。
そんななかで、「こういう性格だからこの順番に並べるんだ」ではなく、普遍的な年齢という括りで“成長”という流れを作ることにしました。個人に限定しない共感の仕方を生み出したいという想いから、そうした整理を行った形です。
齊藤:その構成については、僕は仕上げの段階で知りました。
子どもたちが全員僕のことをメディアを通して知っているわけではありませんでしたが、とはいえ自分の存在がノイズになりかねないので、極力内に入らないようには気を付けていたつもりです。
僕の担当としては、作品の中身というよりも、長い間カメラが子どもたちや職員の方々の生活に入ることに対して安心してもらえるような役割であり、そのために接点を設けていました。