伊勢谷友介インタビュー 「いろいろなことに対応できるフラットな大人でいたいです」
それを乗り越えさえすれば、自然と役になれるじゃないですか。ただし、だからと言って、役を冷静に見つめる自分自身がいなくなるわけじゃないです。例えば、高杉晋作のままモニターチェックをするようなタイプではないし、白州次郎のまま実生活を送るようなことはしない。力石でもそれは変わらなかったですね」。
ならば、伊勢谷さん自身の目から冷静に見た力石とは?
「ある意味、いけ好かないと言えばいけ好かないですよね(笑)。若いわりに年寄りっぽいエレガントな雰囲気があるし、鼻につくくらいピシッとしてるし、“1分で勝つ!”とか言っちゃう人なので。僕からすれば、“言わなきゃいいのに…”と思うし、いじめっ子だなあという気がするんですが、たぶん僕の考える格好良さと力石の考える格好良さは違うんでしょうね。僕は彼ほど不器用には生きられないですから」。
となると、伊勢谷さん自身の人生における美学にも迫りたくなる。
「何て大きな質問を…(笑)。そうですねえ。僕の場合は、良心というものをちゃんと知れている所から始まりますね。知識を培って、良心で判断する作業が僕の人生における全てだと思います。いろいろなことを知ると物事の道理が分かるから、その道理の中で間違った方向に行こうとしているものを良心で見定めて、回避させるために行動を起こす。