『翔んで埼玉』の世界はこうして作られた! 美術・あべ木陽次氏の秘話
○■まさか、ここまでブームになるとは
――『翔んで埼玉』を振り返ってみて、美術担当として、ほかの作品とは違ったユニークなところはどこでしたか?
最初はちょっとリアルなチープ感じも考えていたんです。実際の埼玉の景色を調べたりして。でも基準が決まってからは、リアルではなくて作られた世界にしようと。リアル感がまったくないというのが、特徴でしょうね。
――だからこそ受けたのだと思います。リアルな埼玉ではなく、あくまでもイメージとしての埼玉を描いた。実際に、埼玉の方たちにすごく受けましたよね。
そうなんですよね。
そこが全然読めなかったんです。リアル感ゼロの世界観が伝わらないかと心配もありました。実際にお客さんに観てもらうまではどんな反応が来るのか全然わからなかったです。一定じゃないシチュエーションのなかを、主人公のふたりが移動していく。それが面白く見えたらいいんだけどと。
――ここまでブームになるとは。
全く思ってなかったです。
○■リアル感を大切にする美術。
今回は真逆だった
――映画やドラマは総合芸術ですが、美術としての心得、仕事に向かう際に大切にされていることを教えてください。