ソロシネマ宅配便 第3回 『仮面病棟』永野芽郁が見せる“時に危なっかしい逸材ぶり”
「読んでから見るか、見てから読むか」
かつて一時代を築いた角川文庫は映画原作小説をそう売り出したが、この選択は原作付き映像作品に限らず、スポーツ観戦でも同じことだ。なんとか情報を遮断して試合結果を見ないように帰っていたら、家の直前で鍵を取り出す際にスマホの速報アプリ通知を見ちゃったあの絶望感。ついでに「いやーギリ勝ったね」なんつって友だちから飛び込んでくるLINE着信。令和の時代、情報を追うというより、情報が俺を追ってくる。
そんな情報過多の日常からしばし避難するためにひとり映画館へ向かう本連載。あえてほとんど前情報は入れずにチョイスしたのはヒット中の『仮面病棟』である。
ちなみに個人的にまずは映画を観てから、後追いで原作を読んで補完するようにしている。先に原作を読み込むと、これが入っていないあのシーンが違うなんつって気が付けば映像化のあら探しのような気持ちになってしまうからだ。
映画も合コンもいかに対象の長所を見つけるかが楽しむポイントではないだろうか。そういう割り切りが大人のソロシネマライフには重要な気がする。
コロナ余波で館内が寂しい作品も目立つ中、『仮面病棟』は平日午後回にもかかわらず6割くらいの客入りで、(恐らく学校が休校中の)