配信で見る『刀ミュ』 シェイクスピアをも連想させる〜三百年の子守唄〜
「あの人」と歌うたび、その響きが切ない音がして、何度もリピートしてしまう。そこが配信の良さである。
○■シェイクスピアをも連想させる
「三百年の子守唄」では刀剣男士が6振りそれぞれの誰かとの関係が丁寧に描かれている。長い年月のなかで6振りが順番に誰かと深く関わって、歴史をつないでいくかのように。物吉貞宗とにっかり青江が竹千代(家康)を育て、蜻蛉切が本多忠勝を想い、大倶利伽羅が吾平と触れ合い、石切丸と千子村正が信康の人生に立ち会う。信康をあやすときは石切丸が子守唄を歌う。
馴れ合わない一匹狼的な大倶利伽羅もついに榊原康政として徳川に参加。サムライになりたい農民・吾平(高根正樹)に剣を教えているうちに意外な感情が芽生えてくる。
石切丸と剣を交えたとき「軽い」と言われてしまうのだが、石切丸が重心を低くした安定感のある殺陣に対して、大倶利伽羅はふわりと身を翻して軽やか。この違いも面白い。そんな大倶利伽羅の剣はやがて……。
最後の最後で千子村正が井伊直政として参加。井伊家家臣・木俣の子孫である私としては思い入れもひとしおであった。余談はともかく。千子村正は徳川家と因縁深い刀である。ここで千子村正が徳川に参加することで歴史はどうなるのか(物吉貞宗に対する千子村正のセリフが好きです)。