ソロシネマ宅配便 第7回 『バクマン。』大人にオススメしたい“中年ジャンプムービー”
を、学年一の秀才で文才に長けた高木秋人(シュージン/神木隆之介)が「オレと組んで漫画家になってくれ」と誘うところから物語が動き出す。シュージンは、サイコーが憧れのクラスメイト・亜豆美保(小松菜奈)をスケッチしたノートを盗み見て、その画力に目をつけたのである。
だが、叔父の漫画家・川口たろう(宮藤官九郎)の死で、プロの世界の過酷さを垣間見たサイコーは躊躇する。それでもシュージンは一方的に口説く。漫画家なんてなるもんじゃねえんだよ。なれるのは本当に才能を持って生まれたごく一部の天才だけ。そんなものに人生を賭けるなんてバクチだ。でもさ…、と。
「いいじゃんバクチでも!オレもお前も今まで部活も勉強も何もやってこなかった。今から必死こいてやってもハンパな未来しかない。だけどオレたちには才能がある!これを生かさない手はない」
「オレは必ずやれる」という意志と喜び、それを才能という…作家の村上龍はそう書いたが、ここは心の奥底にグッとくる素晴らしいシーンだと思う。だって、高校生にもなると夢を公言してガムシャラに努力するのがちょっと恥ずかしくなってくる。で、現実を笑ってごまかしながら、ほんの少しの焦りとともに日々は過ぎていく。