2014年12月23日 08:00
学生ローンを借りてまで食を探求 - ノルウェーの料理研究家の働き方
そうした積み重ねで、12歳のときには最高においしいチキンの調理方を編み出しました。茹でるとしっとり仕上がるけど鶏の味は抜けてしまうし、ローストすれば味はあってもパサパサになる。そこでホイルで包んで15分くらい焼いてみたら味もよく、しっとりとしたチキンになったのです。
大学ではメディアを専攻しました。世界の文化に興味をひかれ、なかでも食べ物について掘り下げ、書くことは意味のあることであり、調理の歴史は人間の歴史に通じるのではないかという思いに駆られ、在学中からライターを始めました。そのためにはいろいろなものを食べなければいけないでしょう? 行きたいレストランに行くためにはお金を惜しみたくなかったから、学生ローンを組んだのです。文学に例えると、難解なジェイムズ・ジョイスから、楽しく読めるマルグリット・デュラスまで知っていてこそ文学を語れる。食についても、安くておいしいものだけでは…例えばヤキトリがいくらおいしくたって、高級なレストランの味を知らなければ、食を知っているとは言えないと思ったんです。
そうして、地元紙やワシントンポストに寄稿するようになり、テレビにも出るようになりました。僕がホストを務める「ニュー・スカンジナビア・クッキング」