女の節目~人生の選択 (10) vol.10「初めての、バイト」【17歳】
のはまったく同じだ。ひょっとしたら彼女たちは、「主婦」も「仕事」であるということを、巧みな誘導尋問でごまかされてやしないのか。内でも外でも好きな職種に就けばいいと思うけど、たくさんあるはずの選択肢の大半を、誰かにあらかじめ取り上げられてやしないのか。もちろん別の集団には「育休期間くらい、主夫業に専念してみてごらんよ」と言いたい。話はそれからだ。
17歳のとき、近所のベーカリーレストランに、初めてバイトの面接に行った。応対した副店長は私の履歴書を一瞥し、「高校生。今までに、働いたことが、一度もない……」とつぶやいた。
厄介なのが来たな、という表情だった。数ヶ月後、別店舗へ異動が決まった彼は「おまえはデキる奴になったな。これからも、自分の仕事を、頑張れよ」と励ましてくれた。あれはきっと、ウェイトレスのことだけを言ったのではない。
私たちは誰もが、生活のために仕方なく、貴重な時間をパートに分けて切り売りしながら生きている。でも一方で私たちは、労働によって生かされてもいる。働くことを奪われたら、私はきっと死ぬほどつらい。食いっぱぐれるというだけじゃなく、もっと大きな意味で。
初めてのバイトが、そんな職業観を私に刷り込んだ。