映画『新聞記者』で話題の藤井道人監督が選んだ、「1番難易度が高い」新作
でも、ああいう終わり方が、日本の未熟さでもあると思うんです。例えば、韓国であれば、政治映画がしっかり根付いているし、史実に基づいた映画が多い分、史実に基づいた結末が描けるけれど、日本でそれをやるには早いと思うんです。
――確かに、光州事件にしても、民主化闘争にしても、それを描くには時間がかかったとは言われていますね。
『新聞記者』の公開の頃は、参院選の前だったので、若い人たちに選挙に行ってほしいということは思っていました。そして、今の僕の心境としては、きれいごとかもしれないんですけど、共生できる世の中は、いつか来るのかなって思っています。
――それは、疑問形ですか、希望ですか?
来るという確信はないけれど、願いとしてですね。僕はSNSではそういう発言を一切しないようにしていて、それは映画でしか物事を伝えないと決めているからなんですね。
――それと、藤井監督は、けっこう初期の段階から、海外への目線もあると言われていました。
社会と地続きで、問題提起のある映画というのが、世界的にも求められていると思いますが、そこはいかがですか?
やっぱり、文化としての映画というものをしっかり考えている、深田晃司監督や濱口竜介監督という先輩がいらっしゃるので、自分がその中で何ができるかを考えています。