テレビ・ワンシーン考現学 (1) 「突然の雨」はドラマの場面転換としてさすがに使われすぎている
突然の雨は、本当に突然降ってくる。「ゲリラ豪雨」という言葉が馴染む前から、テレビドラマの雨は常にゲリラ的だった。もしも、商標登録ならぬ「シチュエーション登録」が存在するならば、「突然の雨」を登録した誰かは、ただちに「株式会社 突然の雨」で起業するべきだろう。突然の雨にはそれくらい安定した需要が見込まれている。
○「営業マンは突然の雨をビジネスバッグで除けるか」問題
突然の雨は、決まってこのように映し出される。地面にポツンと落ちた水滴、1秒後にポツンが5滴、3秒後に10滴、5秒後に30滴と増え、20秒後には周囲の人が総じてどこかに向かって駆け出すほどの豪雨になる。傘を持っていないサラリーマンは、合皮のビジネスバッグを傘がわりにして突然の雨を除けようとするが、私の実地調査によれば、実際の突然の雨では、小型PCや契約書類等が入っているバッグこそ雨から守ろうとする傾向が強い。
雨と同時に雷が鳴るのがお約束だが、東京での年間降水日数が100日弱なのに対して、雷が発生した年間平均日数は12.9日である(『【大人のための図鑑】気象・天気の新事実』木村龍治・監修/新星出版社)。
つまり、ドラマでは雷が鳴りすぎている。