女の節目~人生の選択 (15) vol.15「初めての、会社員」【24歳】
鳴った順に電話を受け、注文を聞いて複写式の短冊伝票に書き込み、整理して処理すると、また電話が鳴る。これまたナチュラルハイになる職場だ。御奉公先である書店には失礼があってはならないと緊張して割と早めに出勤していたが、倉庫では9時出社だと言われ、しかし9時に行くといつも私が一番遅かった。数日経って部長から「新人は、だいたい10分前には来ておくといいと思うよ」と言われた。同期入社のもう一人は毎朝、始業15分前には着席していたようだ。
どうして10分前に出社すべきなのか、10分前という目安は何で決まっているのか、理由はよくわからなかったが、言われた通りにすべきであるということだけは、さすがの私にも理解できた。なぜなら私はこの春から「会社組織」に属しており、その最下層に位置するフレッシュマンであるから。定刻までにタイムカードを押しさえすればいいアルバイト先では今までそんな指導を受けたことはなかった。
なるほど、これが「会社」か。
取締役が書いた原稿をもとに文書を作成する雑用が回ってきたとき、本人から感想を求められて「はい、よく書けてると思います!」と元気に答えたら、「上司に向かってその物言いは何事か」