『龍三と七人の子分たち』北野武監督×藤竜也 - 「ニヤっと笑う顔がおかしくて」「すごい料理人」
ニヤっと笑う顔とかがおかしくてね。ちゃんと芝居をされているんです」
藤「僕は、監督からすごくいろんなものを引き出されました。監督は吸血鬼ですから(笑)。料理人でいえば、ものすごい料理人だと思います。仮に僕が魚だったとしましょう。刺し身だとすると、新鮮なうちにすっと切って、ぱっと食ってくれるんです。べたべたやられたら、刺し身の鮮度なんかグチャグチャになって、旨くないんですよ。パワーがあって、いちばんいいところをぱっと撮ってくれて、それを使ってくれるんです。
撮影も速いし、ありがたかったです。北野監督作をずっと拝見して、俳優がみんな良い理由がわかりました。みんな、いつもと違う感じがして、異様にパワーがある。たぶん同じように撮られているんでしょうね」
北野監督「自分の撮り方としては、ドライ、本番なんですよ。どうせ役者さんは台本を読んできているわけだから、何回もやると飽きるでしょ。自分もテレビ局へ行って『ネタを見せてください』と言われると、冗談言うなと怒るもん。知っている人の前で2回も回されても、笑うかよって。笑いも演技も一発勝負です。
失敗したらもう一回やってもらうだけ」
――平均年齢73歳というベテラン俳優さんたちの現場で、北野監督が苦労された点は?
北野監督「役者さんたちは、すごい経歴の人ばかり。