くらし情報『女の節目~人生の選択 (16) vol.16「初めての、通院」【27歳】』

女の節目~人生の選択 (16) vol.16「初めての、通院」【27歳】

のちのち「概日リズム睡眠障害」という言葉を知ることになるのだが、20代後半の当時はまだ、「自分はもしかして、うつ病なのではないか?」とも疑っていた。仕事の合間に精神科や心療内科をハシゴして、よりどりみどりの睡眠薬を処方してもらう。働くために薬が必要なのか、薬代のために働いているのか、なんだかよくわからない状況だったが、尊敬する上司も一緒に仕事する仲間もみな何かしら身体に「故障」を抱えながら私以上の激務をこなしているのだから、それが当たり前だと思っていた。

○脳病院へまゐります。

「眠れなくて精神科へ通ってるんだ」と言うと、あちこちでギョッとされる。「待合室には頭のおかしな人たちがたくさんいるのか?」と真顔で訊かれたこともあった。別の科にかかるならまず受けないであろうそうした偏見の眼差しよりも、私は、自分の不健康を放置しておくことのほうが、よっぽど怖かった。尊敬する上司、一緒に仕事する仲間、友人の友人、飲み屋ですれ違った客。
素人目にも明らかに重篤な精神の病を抱えていると思われる人たちが、周囲にたくさんいた。そのほとんどに自覚症状がなく、自分は「マトモ」と信じきったまま、病的な言動で他者を振り回しては疲弊させていた。

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