くらし情報『女の節目~人生の選択 (16) vol.16「初めての、通院」【27歳】』

女の節目~人生の選択 (16) vol.16「初めての、通院」【27歳】

私も傍目にはあんなふうに見えるのかもしれない。睡眠を、心身を、自分をコントロールできず他人に迷惑をかけている現状を、一刻も早く脱したい。

とはいえ、吐いて下痢をしたとか、骨が折れて血も出たとか、目に見えてわかりやすい患者とはわけが違う。医師の見立てはてんでばらばら、新しい診断を下されるたびに右往左往して、なかなか腰が落ち着かなかった。仕事があると朝一番の診療予約しかとれず、となると数度に一度は薬が効きすぎてすっぽかす。「ちゃんと時間通りに来てくださいね」「いや、だからそれを治したいんですってば!」で押し問答となった医院もあった。精神安定剤を服用すると気分が悪くなる。副作用が少ない入眠導入剤でも寝起きにひどいめまいに襲われる。
中途覚醒はしないのに、それを抑える薬が不思議と効く。かたや、ある医師に「気休めですよ」と一笑に付された光療法は、かなり効果的だった。

行き着いたのは結局、最寄駅の駅前にある小さな小さな心療内科で、階下の薬局のために処方箋を書くのがお仕事、というようなナメきった態度の小太りの院長だ。「まぁ、うつ病ではないですよ。寝れば治るんだから」「休職の診断書を書いてあげてもいいけど、あなたは会社行けないと悪化するタイプだよね。

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