女の節目~人生の選択 (17) vol.17「初めての、一人旅」【31歳】
借金から解放されるこの喜びは、借金を背負ったことのない人には、きっと理解できないだろう。お金が私を縛り、お金が私を戒め、そして今、お金が私に新たな自由をくれた。さっき実印を捺した書類一枚で長年の定期預金はすべて消え、次の給料日まで文字通りの残高ゼロだが、引き続き定職には就いているし、またコツコツ積み立てていけば、スイス製のちょっといい自転車を買える程度の余裕はある。さて、次に何をしようか。
○台湾はあまりに遠し
倹約家というわけでもないが、浪費家というわけでもない。ものすごくお金のかかる特別な趣味を持っているわけでも、習い事をしているわけでもない。オタクだから金遣いが荒いようにも見えるが、他の同年代の女性がファッションや美容に注ぎ込む金額を思えば大したことはないだろう。それで、今までの月々の学費返済と同じだけ手元に残るとしたら、私は何ができて、何をしたいと思うのだろうか。
最初に思いついたのが、「旅に出たい」だった。当時よく飲み歩いていた街の安居酒屋は、どこもかしこもトイレの個室にピースボートかワーキングホリデーかその両方のポスターがべたべた貼ってあった。あれは本当に賢いプロモーション戦略だと思う。