まんしゅうきつこ、強要された面白さで酒に走る--『アル中ワンダーランド』
というプレッシャーです。
漫画のネタが浮かばないとき、人とフレンドリーに話したいとき、イベントを盛り上げなきゃいけないとき……まんしゅう氏がお酒に走るのは、決まって人から"おもしろさ"を求められたときなのです。
俗に、依存症は根が生真面目で完璧主義の人ほどなりやすいと言われています。まんしゅう氏も、コミュニケーションスキルのハードルを自分で勝手に上げすぎてしまい、そのハードルを乗り越えるためのツールとして、お酒を"ドーピング"に使うようになったと説明しています。
コラムに書かれた「誰か、私を『面白い』から解放してください」という著者の心の叫びは、何かを創作する立場の人間にとって、涙なくして読めないのではないでしょうか。
いや、現代では、作家だけでなくその辺の一般人までもが、「面白い人」「楽しい人」「変な人」として、自分の身の上をネタとして提供することを求められます。
Twitterで本作の感想を検索してみると、尋常じゃない数の人が、「私もお酒を飲まないと人前で楽しく振る舞えない、だから飲んじゃう」と著者に共感しているという事実に気付かされるでしょう。
誰もが、「人前では面白い人でなければいけない」