女の節目~人生の選択 (18) vol.18「初めての、結婚」【33歳】
「それでもいい?」とお互いに問いかけ続けた。
単独行動するときにはおそろしく決断の早い二人である。歩くのも早いし、会話のテンポも早い、昼の定食メニューから食べたいものを選ぶのも早い、そして結婚を決めるのも早かった。ところが結婚前後は探り合いの日々が続いた。「これ、食べてみたい? とったら二人で分ける? それとも一人で一皿食べたい? 全然別のメニューがいい? やっぱり店を変えるべきだった?」といった会話が繰り返された。引っ越しのタイミング、家具の選定、家事の分担、パーティーの招待客リスト、一人で招かれた場所へ配偶者同伴で行くか否か、二人で受けた誘いに本当に二人で出向くか否か、などなど。
「えーっ、結婚したら、こんなことも自分一人で決められなくなるの!?」と、驚きの連続だった。たとえばウエディングドレスだって、「着せてあげないとかわいそうだわ」という新郎母の一言で着ることになり、「花嫁なんだからもっと初々しいデザインになさい」という新婦母の一言で直前に決定をまるごと覆し、親族だけを集めた結婚披露パーティー当日、いかにもなウエディングケーキに入刀するドレス姿の新郎新婦は、「最終的に、これでいかがですかね? これで、ご来賓の皆様全員にご満足いただけましたでしょうかね?」