調査データから個別の事情は読み取れませんが、実態としては、上記のようにいくら返せるかではなく、いくらまで借りられるかで資金計画を立て、自己資金と合わせていくらまでの物件が買えるか、という発想になっている可能性が高いのです。
さらに言えば、毎月8万円とした返済額は当初の返済額。これが10年後、変動金利では5年後に、金利次第では増額する可能性もあるのです。
資金計画は、いくら借りられるのかではなく、いくらなら毎月返せるか、さらにいえば、金利が上昇したときに、いくらまでなら増額に耐えられるかを、試算しておくべきなのです。
最初から全力で計画した住宅取得では、ちょっとした躓き、たとえばボーナスをあてにしていた、子どもの教育費がかさんだ、妻が退職することになった、といったことで返済が途端に苦しくなってしまうのです。
せっかくのマイホームを手放さなくてすむようにする、それは、購入時に余裕をもった資金計画ができるかにかかっているのです。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
<著者プロフィール>
伊藤加奈子マネーエディター&ライター。法政大学卒。
1987年リクルート(現リクルートホールディングス)